「続けてくれた人にプレゼント」、誰が数えますか?
支援先のネットショップ(Shopifyで運営されています)で、新商品の定期購入を始めました。特典は「4回目のお届けから、4回ごとにプレゼントを同梱します」。続けてくれた人ほど得をする、分かりやすい特典です。
ただ、運用する側に回ると、ちょっと困ります。お客様ごとに始めた月が違うので、今月が何回目なのかは人によってバラバラです。表で数えて、該当する方の箱にだけプレゼントを入れる。これを毎月、人の目で続けると、いつか必ず漏れます。
先に結論をお伝えすると、数える仕事は仕組みに任せられました。定期購入のアプリが注文に「何回目か」の印を付けてくれます。Shopifyの自動化の機能がその印を見て、該当する注文にだけ0円のプレゼントを足します。発送する方は、注文の画面に出ている商品をそのまま箱に入れるだけです。
とはいえ、すんなりいったわけではありません。組む途中で5か所つまずきました。どれも「動かしてみるまで気づかない」種類のものです。この記事では、定期購入の流れを先にご説明してから、その5か所を順にお話しします。

きっかけ
準備に使えたのは2日でした。発売日は決まっていて、しかも当日、担当の私は出張で動けません。なので「当日に人が判断しなくていい形」にしておく必要がありました。
運営の方から最初に聞かれたのも、まさにこの点です。「何回目かを、こちらで把握できますか?」。「できます」とお答えするために、まず定期購入の注文がどう生まれるのかを確かめるところから始めました。
最初に:いま、どの画面の話をしているのか
定期購入の話は、画面が3つに分かれます。ここが混ざると「直したはずなのに効かない」の理由が分からなくなるので、先に整理させてください。
- 定期購入のアプリの画面 — 割引率やお届けの間隔を決める「プラン」と、お客様1人ずつの「契約」がここにあります。今回使ったのは、日本のアプリ「GO SUB」です
- Shopifyの自動化の画面(Shopify Flowと呼びます) — 「こういう注文が来たら、こうする」を組む場所です
- Shopifyの注文と商品の画面 — 実際に生まれた注文と、そこに付いた印を見る場所です
1で決めたことが3の注文になり、2がその注文を見て動きます。この順番で考えると迷いません。
用語は3つだけ
- お客様1人ずつの定期購入の約束(契約と呼びます) — 「この方に、この商品を、この値段で、次はこの日に送る」という記録です。初回の注文と同時に1件できます。お客様の数だけあります。
- 割引率やお届けの間隔のひな形(プランと呼びます) — 「1か月ごと・20%引き」のような条件です。商品ページでお客様が選ぶのはこちら。契約は、選ばれた時点のプランの条件を写して作られます。
- 注文に自動で付く短い目印(注文タグと呼びます) — アプリの設定を入れておくと、定期購入の注文に「定期の注文です」「何回目です」という印が付きます。お客様には見えません。
この3つの関係が、あとで出てくるつまずきの原因になります。なかでも「契約はプランを写して作られる」だけ、頭の片隅に置いておいてもらえると、後半がすっと入ってきます。
手順0:定期購入の注文がどう生まれるかを知る【注文の画面】
流れはこうなっています。
- お客様が商品ページで定期購入を選んで買います。これが1回目の注文になり、同時に契約が1件できます
- 契約には「次回の注文日」が入ります。何もしなければ、初回の注文日の1か月後です
- その日が来ると、アプリが自動で注文を作り、登録済みのカードで決済します。これが2回目の注文です
- 注文にはそのつど「何回目か」の印が付きます。初回が1で、以降1ずつ増えます
すでに定期購入を動かしているお店でしたら、定期の注文を1件開いて、タグの欄を見てみてください。回数の印が付いていれば、この記事の仕組みはそのまま組めます。付いていなければ、アプリの設定に「回数をタグに付ける」に当たる項目がないか探してみてください。GO SUBには、その項目がありました。
支払い方法にも1つ注意があります。自動で決済する以上、定期購入に使えるのはクレジットカードだけでした。銀行振込や代金引換を用意しているお店でも、定期では選べません。商品ページと、法律で定められた販売条件の表示(特定商取引法に基づく表記)の両方に書いておくと安心です。
手順1:0円のプレゼント商品を用意する【商品の画面】
自動化が注文に足せるのは「商品」だけです。ですので、プレゼントも商品として登録します。
- 価格は0円にします
- どの販売先にも出しません(お客様の目に触れないようにするためです)
- 在庫は数えない設定にします。在庫切れで自動化が止まるのを防ぐためです
- 名前は、発送する方が見て迷わないものにします。今回は途中で特典の内容が変わったので、「3回目特典」のような回数入りの名前をやめて「継続特典」にしました
手順2:「該当する注文にだけ足す」を組む【Shopifyの自動化の画面】
組んだ流れは6段あります。
- 合図:定期購入の注文が作られた(アプリが用意している合図を使います)
- 2秒待ちます。注文ができた直後は、まだ印が付いていないことがあるためです
- 条件:回数の印が4、8、12、16、20、24のどれかである。かつ、注文の中身が今回の新商品である
- 0円のプレゼント商品を、注文に1つ足します
- 注文に「プレゼント同梱」の印を付けます
- 発送の担当の方へメールを送ります。件名に注文番号、本文に「プレゼントを足してあるので、注文画面どおりに同梱してください」
4で足しているので、発送する方は何も数えなくて大丈夫です。6のメールは念のための保険です。

つまずき早見表
ここからが本題です。実際につまずいた5か所を、表にまとめました。
| 起きたこと | 原因 | どうしたか |
|---|---|---|
| 他の定期商品の4回目にも、プレゼントが付く形になっていました | 回数の印は、定期購入の注文すべてに付きます。新商品だけの印ではありません。お店にはほかに定期商品が4つありました | 条件に「注文の中身が新商品である」を足しました。回数だけで組むと、無関係な商品を続けている方にプレゼントが届いてしまいます |
| 条件の表示が「タグは次と等しい」になっていて、間違いに見えました | 画面の表示は内側の比べ方だけを出していました。中の作りは「タグのどれか1つが、この言葉と完全に同じ」でした | 管理画面のAIの助手に、保存された中身を読み上げてもらって確かめました。実は「含む」のほうが危ないんです。部分一致なので、4が40にも当たってしまいます |
| 予約販売だと、商品が届いて4日後に解約の期限が来てしまいます | 次回の注文日は「初回の注文日の1か月後」です。発送が注文の16日後だったので、届いた時点で次回まで14日しかありません。ご案内は「10日前まで解約可」でした | 発送日を基準に、次回の注文日を後ろへずらすことにしました。届いてから期限まで21日になります。アプリにまとめて日付を変える機能がありました(1回100件まで) |
| 割引率を変えたのに、先に買った方の次回の金額が古いままでした | 契約は、買った時点のプランを写して作られます。プランを直しても、できあがった契約は変わりません | 先に買っていた6件を1件ずつ開いて直しました。商品を選び直すと今の価格が自動で入るので、1件あたり3回押すだけで済みました |
| 管理画面のAIの助手に文面を直してもらったら、「4ヶ月」が「4月月」になりました | 原因は分かりません。3回お願いして、3回とも同じでした | 「月」で数える言い方をやめて、「4回目・8回目・12回目」と回数で書く文に変えたら通りました。AIに任せた箇所は、保存された中身を必ず読み返すようにしています |
手順3:予約販売なら、次回の注文日を先に決めておく【定期購入のアプリの画面】
早見表の3つ目は、気づかないまま発売するとお客様をがっかりさせてしまうので、もう少し詳しくお話しします。

何もしない場合の日付を並べてみます。
- 注文した日を0日目とします
- 16日目に商品が届きます
- 30日目ごろに2回目の注文が自動で作られ、決済されます
- 「10日前まで解約可」なので、期限は20日目ごろです
- つまり、届いてから4日で、続けるかどうかを決めていただくことになります。しかも1袋目を使い切る前に2袋目が届きます
お客様から見れば「試す前に次が来た」ですよね。運営の方に日付を並べてお見せして、発送日を基準に次回の注文日をずらす方針で合意しました。ずらした後は、届いてから期限まで21日あります。
実際に日付を変えるのは、初回の発送日が確定してからにしました。予約の期間中は契約が増え続けるので、早く変えると後から入った方が漏れてしまうからです。「2回目の注文日より前に必ずやる」と期限を決めて、予定表に入れてあります。
「10日前まで」というご案内についても、1つ分かったことがあります。これはシステムの制約ではありませんでした。仕組みの上では、次回の注文が作られる前日まで止められます。10日という数字は、発送の準備に必要な日数から決めた、運用上のお約束です。ですので「1か月前までにしたい」というご相談には、「回数の縛りなし、という売り文句と食い違ってしまいます」とお返ししました。
確認方法
発売前に見たのは次の3つです。
- 商品ページで定期購入を選ぶと、割引後の価格が出ます。カートに入れると、その価格とプランの名前が出ます
- テストの注文、または最初の定期の注文を開き、タグの欄に「定期の注文です」と「何回目か」の印が付いています
- 自動化の画面で、流れが「オン」になっています。編集した内容は、下書きのままでは動きません。「適用」を押して初めて本番に入ります
発売後に見るのは1つだけです。先に買った方の契約を1件開いて、次回の金額と次回の注文日が、ご案内したとおりになっているかを確かめます。
正直に書いておくこと
- この自動化は、まだ本番で一度も動いていません。最初の4回目が来るのは、発売から3か月以上先です。それまでは「組んだとおりに動くはず」でしかありません。最初の1件は、必ず注文の画面を開いて、プレゼントが足されたかをこの目で見ます
- 回数は24回目までしか書いていません。「4の倍数」という書き方ができなかったので、4、8、12、16、20、24を1つずつ並べました。2年後に28を足す必要があります。忘れやすいので、作業の記録に書き残しました
- 自動化の画面には、外から操作できない部分がありました。AIに作業を任せていても、本番に入れる最後のボタンは人が押しています。手間に見えるかもしれませんが、私はそのほうがいいと思っています
- お客様がマイページで次回の注文日をご自分で動かした場合や、途中でお休みした場合に、回数の印がどう進むかは確かめきれていません。特典のご案内は「◯回目のお届け」と回数で書いてあります。月ではなく回数でお約束しておけば、お休みの月があっても説明がぶれません
- 日付をずらす、金額を直す、といった契約の変更では、アプリの設定によってお客様へ通知メールが飛びます。別のお店では、契約を直すたびに「定期購入が更新されました」という文面が届いていました。まとめて変える前に通知の設定を見て、運営の方と「何が届くか」を共有しておくことをおすすめします
要点3行
- 「何回目か」は、定期購入のアプリが注文に印を付けてくれます。自動化はその印と商品の両方を見て、該当する注文にだけ0円のプレゼントを足します
- 契約は、買った時点のプランを写して作られます。後からプランを変えても、先に買った方の金額と日付は変わりません。1件ずつ確かめましょう
- 予約販売では、次回の注文日を発送日から数え直します。何もしないと、届いて数日で解約の期限が来てしまいます