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2014年製の問い合わせフォームが、2026年に突然届かなくなった理由。差出人を「お客様のアドレス」にしていた

2026年11月3日
約9分で読めます
山田 祐輔
2014年製の問い合わせフォームが、2026年に突然届かなくなった理由。差出人を「お客様のアドレス」にしていた

保守先のお客様から「フォームからの問い合わせを取りこぼしている」と連絡がありました。調べると、フォームは2014年に無料配布されたPHPのプログラムで、通知メールの差出人を「お客様が入力したアドレス」にしてお店のサーバーから送っていました。Gmailがこれを拒否していました。

結論から書きます。原因は2つ重なっていました。「他人のアドレスを名乗って送る作り」と、「お店のドメインに送信者の署名(DKIM)がない」ことです。直し方は、差出人をお店のアドレスにし、お客様のアドレスは返信先(Reply-To)に移し、ドメインにDKIMを付ける。この3つです。同じ作りのフォームは、別のサイトにもありました。

きっかけ

海外にある店舗のサイトでした。問い合わせフォームと予約フォームの2本があり、どちらもHTMLのフォームからPHPのファイルに送って、そこからメールを出す仕組みです。PHPのファイルの頭に2014年の配布元の名前が書いてあります。

通知の宛先はお店のGmailアドレス、写しが2件。届かなくなったのがいつからかは、お店側では分かりませんでした。

最初に:作業する場所を整理

  • サーバー(SSHで入れる契約)。フォームのPHPファイルと、送信に失敗したときの戻りメールが残る場所
  • サーバーの管理パネル。ドメインごとのDKIMのオン・オフはここ
  • テスト用の受信箱。自分宛てに送って、認証の結果(SPF・DKIM)をメールのヘッダーで見る

用語は3つだけ

  • From(差出人):メールの「誰から」。受信側はこのドメインで本物かを判断します
  • SPF・DKIM:差出人のドメインが「このサーバーから送ってよい」「この署名が付いていれば本物」と宣言する2つの仕組み。DNSに書きます
  • Reply-To(返信先):受信者が「返信」を押したときの宛先。Fromと別にできます

手順0:戻りメールを探す【サーバー】

お客様のアドレスを差出人にしたフォームがGmailに拒否される仕組みと直したあと

「届かない」の証拠は、送信元のサーバーに残っています。サーバーのメール保存先を見ると、10月17日にGmailからの戻りメールが1通ありました。要約するとこうです。

550-5.7.30 ... DKIM authentication didn't pass

Gmailは2024年2月1日から、Gmail宛てに送るすべての送信者にSPFかDKIMの認証を求めています(Googleのヘルプ「メール送信者のガイドライン」)。このフォームは、お客様が入力したアドレスを差出人にして、お店のサーバーから送っていました。つまりお店のサーバーが、お客様のドメインを名乗って送っている。お客様のドメインのSPFにお店のサーバーは書かれていないし、署名も付けられない。Gmailから見れば「認証されていない送信者」です。

自動返信のほうは、お店のGmailアドレスを差出人にしてお店のサーバーから送っていました。これも同じ理由で届かない見込みです。

さらに、お店のドメイン自体にDKIMのレコードがありませんでした。差出人をお店のアドレスに変えても、署名が付かなければ片方しか通りません。

手順1:ドメインにDKIMを付ける【サーバーの管理パネル】

サーバーの管理パネルで、お店のドメインのDKIMをオンにしました。パネルがDNSも持っている契約だったので、レコードは自動で入ります。これで「お店のアドレスを差出人にしてお店のサーバーから送る」メールに署名が付きます。

手順2:差出人と返信先を入れ替える【PHPファイル】

通知メールと自動返信、両方のPHPを直しました。変更前の控えを取ってから、次の形にします。

  • 通知メール:From=お店のアドレス(info@お店のドメイン)、Reply-To=お客様が入力したアドレス
  • 自動返信:From=お店のアドレス、Reply-To=お店のGmail(お客様が返信するとお店のGmailに届く)
  • 送信コマンドの -f オプションで、封筒の差出人(受信側がSPFを見るアドレス)もお店のアドレスに揃える

「お客様のアドレスを差出人にする」作りは、2014年当時は「返信ボタンで返せて便利」という理由で広く使われていました。いまは返信先(Reply-To)で同じ動きになり、差出人は自分のドメインにするのが前提です。

手順3:自分宛てに送って認証を見る【テスト用の受信箱】

問い合わせフォームから1通、自分のアドレスで送りました。届いた自動返信のヘッダーで、SPFとDKIMがどちらも合格になっていることを確認しました。

お店のGmailに通知が届いたかは、お店の受信箱でしか確かめられません。報告して、着信の確認をお願いしています。写しの宛先のうち1件は「宛先不明」で戻ってきていたので、外してよいかも併せて確認中です。予約フォームは同じ直し方をしましたが、テスト送信はまだです。

手順4:同じ作りが、別のサイトにもあった【DMARCレポート】

この会社の本社ドメインは、9月にメールサーバーを移していて、毎日DMARCレポート(受信側が「このドメインを名乗るメールをどこから受け取ったか」を送ってくる集計)が届きます。1か月分を集計すると、もう使っていないはずの旧サーバーから、本社ドメインを名乗るメールが2通出ていて、受信側で隔離されていました。

出どころは、別のサイトに置いてあった「メールフォームプロ」というフォームツールでした。自動返信の差出人が本社のアドレス、管理者通知の差出人がお客様のアドレス。前者は旧サーバーがSPFから外れたので不合格、後者は手順0と同じ構造です。

同じ要領で、差出人をそのサイトのドメインの noreply@ に変え、返信先を付け替えました(設定ファイル1か所と、送信部分のプログラム4か所)。テスト送信では、通知は受信トレイに入り、SPF・DKIMとも合格。

ところが、自動返信のほうはGmailで迷惑メールに入りました。理由の表示は「以前迷惑メールと判断されたメールに類似」。認証は通っているのに、過去に不合格だった自動返信と文面が同じなので、評判が引きずられています。これは時間と、文面を少し変えることでしか直りません。

つまずき早見表

起きたこと原因対処
フォームの通知がGmailに届かない差出人がお客様のアドレス=他人のドメインを名乗っている差出人を自社ドメインに、お客様は Reply-To へ
差出人を直しても片方しか合格しないドメインにDKIMがないサーバーパネルでDKIMをオンにする
封筒の差出人が合わない送信コマンドの -f が未指定-f で自社アドレスを指定
使っていないサーバーから自社ドメインのメールが出ている旧サーバーに残ったフォームの自動返信DMARCレポートで出どころを探し、フォームを直すか止める
認証が通ったのに迷惑メールに入る過去の不合格メールと文面が同じ文面を変える・時間を置く・受信側で「迷惑メールでない」を押してもらう
写しの宛先から戻りメール退職などで消えたアドレス宛先一覧を先方と見直す

確認方法:自分のサイトのフォームで見る3つ

自分のサイトのフォームで見る3つ
  1. フォームから自分のアドレスで送り、届いた通知の「差出人」を見る。自分のアドレスが差出人になっていたら、この記事の型です
  2. 届いたメールのヘッダー(Gmailなら「メッセージのソースを表示」)で、SPF・DKIM・DMARCの結果を見る
  3. 自社ドメインのDKIMがオンかを、サーバーの管理パネルで見る。オフなら、フォーム以外のメールも同じ扱いを受けます

正直に書いておくこと

  • お店のGmailへの着信は、当社からは確かめられません。先方の確認待ちです
  • 「いつから届かなくなったか」は分かりませんでした。戻りメールは1通しか残っていません
  • 迷惑メール判定の評判は、設定を直しても即日では戻りません
  • 自社のサーバーから出るメールすべてに同じ条件がかかるので、フォーム1本を直して終わりではありません

要点3行

  • 「お客様のアドレスを差出人にする」フォームは、2024年2月以降のGmailに届かない
  • 直し方は、差出人を自社ドメイン・お客様は返信先・ドメインにDKIM、の3点
  • 使っていないはずの旧サーバーから出ているメールは、DMARCレポートで見つかる
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代表取締役 / LINE業務管理・AI業務改善・ホームページ制作
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大阪府枚方市を拠点に、中小企業・個人事業主の「業務改善」と「集客」を仕組みから支援。電話メモ・日報・予約を社員が毎日使うLINEにまとめる業務管理システムの構築と、ホームページ・ECサイトの制作から公開後の集客・運用まで、ひとつの窓口で担当。2022年の個人開業を経て2024年1月に法人化。
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