マネーフォワード クラウド会計も、2026年3月26日からリモートMCPサーバーを全プランで提供しています。ClaudeなどのAIツールに接続設定をするだけで、仕訳の登録や試算表の取得を会話で行えるようになりました。
ただし、実際に使い始めると「接続URLが2つある」「事前に権限を付与しておく必要がある」など、公式ページを読まないと分からない前提がいくつかあります。この記事では、マネーフォワード公式の情報をもとに、できること・できないこと・つまずきどころを整理します。
マネーフォワードのMCPサーバーとは
MCP(Model Context Protocol)は、AIと外部サービスをつなぐための共通規格です。マネーフォワードはこの規格に対応したサーバーを自社でホストする「リモート版」として提供しています。
そのため、利用者のパソコンにソフトウェアをインストールする必要はありません。AIツール側に接続用のURLを登録するだけで使えます。対応するAIツールとしては、Claude Desktop・Claude Code・Claude Cowork・Cursor・Gemini CLI などが挙げられています。
2026年3月26日、全プランで開放された
提供開始は2026年3月26日。特筆すべきは「全プランで提供」という点です。スモールビジネスプランからビジネスプラン、IPO準備・中堅企業向けプランまで、契約プランを問わず利用できます。
「上位プランに変更しないとAI連携できない」という制約がないため、いま使っている契約のまま試せます。
【重要】接続URLは2つある
ここが最初のつまずきどころです。マネーフォワードは接続先URLを2種類公開しており、それぞれ認証の挙動が違います。
| 種別 | 利用開始 | 認証の挙動 |
|---|---|---|
| alpha | 2026年3月26日以降 | 1時間ごとに再認証が必要 |
| beta | 2026年4月1日以降 | 認証時間の延長・自動化に対応 |
「1時間おきにログインし直しになって使いものにならない」という声を見かけますが、多くの場合はalpha側のURLを設定しているためです。日常業務で使うならbeta側を選ぶのが基本と考えてよいでしょう。
なお、Gemini CLIについてはalpha側のURLのみ対応と案内されています。最新の対応状況は公式ページでご確認ください。
連携するとできること
マネーフォワード公式が案内している操作は次のとおりです。
- 事業者情報の取得/会計年度設定の取得
- 仕訳:一覧取得・個別取得・新規作成・更新
- 残高試算表の取得/推移表の取得
- 勘定科目・補助科目・取引先・部門・税区分の取得
- 入出金明細の作成/明細一覧の取得/入出金明細からの仕訳作成
実務に引き寄せると、こういう指示ができるということです。
- 「先月の残高試算表を取得して、前月比で動きの大きい科目を挙げて」
- 「今期の月別推移表を出して、売上の傾向をまとめて」
- 「この明細から仕訳を作って登録して」
金融機関から取り込んだ明細をもとに仕訳を起こすところまで対応しているのが、実務上いちばん効く部分だと思います。
できないこと・制限事項
仕訳の「削除」は用意されていない
公式に案内されている仕訳の操作は「一覧取得・個別取得・新規作成・更新」で、削除は含まれていません。誤った仕訳が登録された場合は、更新するか、逆仕訳で調整する運用になります。
裏を返せば「AIがうっかりデータを消す」事故が起きにくい設計とも言えます。
科目・部門・取引先は「取得」のみ
勘定科目・補助科目・取引先・部門・税区分は、いずれも取得(読み取り)のみです。マスタの新規登録や編集はAI経由ではできないため、そこは従来どおり画面で行います。
AIツールによって書き込みが制限される場合がある
公式ページには、特定のAIツールでは「仕訳の新規作成」「仕訳の更新」「入出金明細の作成」といった書き込み系の操作が利用できないと記載されています。読み取りはできるのに登録だけ通らない、という場合はツール側の制限を疑ってください。
仕訳数の上限はプランに準じる
登録できる仕訳数などは、有償プランの制限がそのまま適用されます。MCP経由だから無制限、ということはありません。
つなぐ前に必要な準備
URLを入れる前に、アプリポータルで「アプリ連携権限」を付与しておく必要があります。API利用時の権限は、このアプリポータルの設定にもとづきます。
接続がうまくいかないときは、URLの入力ミスよりも権限の付与漏れを先に疑ったほうが早いことが多いです。
あわせて公式は、認可コードがAIツールの学習に使用されない設定で利用することを案内しています。AIツール側のデータ利用設定は、接続前に確認しておきましょう。
複数の法人を扱う場合の注意
税理士事務所や複数社を管理している方に関わる部分です。公式は、複数の事業者でMCPサーバーを利用する場合、操作開始時に事業者情報を確認すること、そして事業者を切り替える際はチャットセッションを終了してから再設定することを案内しています。
つまり「1つの会話の中でA社とB社を行き来する」使い方は想定されていません。会社ごとにチャットを分けるのが安全な運用です。取り違えは会計データでは致命的なので、ここは運用ルールとして最初に決めておくべきところです。
freeeとどう違う?
| マネーフォワード クラウド会計 | freee | |
|---|---|---|
| 提供開始 | 2026年3月26日(全プラン) | 2026年3月2日 OSS版 3月27日 リモート版 |
| 提供形態 | リモート(URL接続) | OSS版/リモート版 |
| 対応領域 | 会計 | 会計・人事労務・請求書・工数管理・販売の5領域 |
| 操作数 | 公式の機能一覧に準じる | 約270の操作 |
| 権限の考え方 | アプリポータルの設定に基づく | ログインユーザーの権限と同じ範囲 |
大きな違いはカバー範囲です。freeeは会計以外に人事労務・請求書・工数管理・販売まで含むため、バックオフィス全体を横断したい場合に向きます。一方マネーフォワードは、会計に絞って全プランで開放されている点が使いやすさにつながっています。
freee側の詳細はfreeeとClaudeを連携する方法で解説しています。
導入前に決めておきたい3つのこと
- どのURLを使うか——日常業務ならbeta側。alphaは1時間ごとの再認証が必要です。
- 書き込みをどこまで許すか——読み取りから始め、仕訳登録は人の承認を挟む形が現実的です。
- 会社ごとにチャットを分ける運用——複数事業者を扱うなら、取り違え防止のルールを先に決めます。
まとめ
- マネーフォワード クラウド会計は2026年3月26日から全プランでリモートMCPサーバーを提供
- 接続URLはalpha/betaの2種類。alphaは1時間ごとに再認証が必要
- 仕訳の取得・作成・更新、試算表・推移表の取得、明細からの仕訳作成などに対応
- 仕訳の削除やマスタの登録・編集はできない。AIツールによっては書き込み自体が制限される
- 事前にアプリポータルでの権限付与が必要。複数事業者は会話を分ける
メディレクションでは、freee・マネーフォワード × Claude AI の連携支援を行っています。接続設定の代行だけでなく、書き込みの承認フローや複数法人の運用ルールまで含めて設計します。「自社の業務で使いたい操作が対応範囲に入っているか」を確認するところから、無料でご相談いただけます。
会計以外の業務も含めた効率化はAI×業務効率化支援をご覧ください。