「ホームページは何年も前に作ったけれど、そこから問い合わせが来たことはほとんどない」——中小企業の経営者の方から、これは本当によくいただくご相談です。名刺代わりに置いているだけで、営業の役には立っていない。そんな状態のサイトは決して珍しくありません。
ただ、問い合わせが来ない理由の多くは「デザインが古いから」ではありません。訪問者が問い合わせにたどり着くまでの導線——つまり、来てから行動するまでの道すじのどこかで、つまずいている場合がほとんどです。そしてこの導線は、サイト全体を作り直さなくても、部分的な手直しで改善できることが少なくありません。
この記事では、中小企業のホームページで問い合わせが増えないときに、まず確認していただきたい8つのチェック項目と、直す順番の考え方を整理します。
問い合わせが来ない原因は、大きく2つに分かれます
改善に取りかかる前に、自社がどちらのタイプかを見極めてください。ここを取り違えると、必要のない工事にお金と時間を使うことになります。
1. そもそも見られていない(集客の問題)
アクセス解析(Googleアナリティクスなど)を開いて、月間の訪問数を確認します。月に数十件程度しかないのであれば、導線をどれだけ磨いても問い合わせは増えません。検索対策や広告、SNSなど、人を連れてくる施策が先です。
2. 見られているのに動けていない(導線の問題)
一方、月に数百件以上の訪問があるのに問い合わせがゼロに近いなら、原因はサイトの中にあります。訪問者は来ているのに、「ここに頼めばよさそうだ」と判断できないまま、あるいは判断できても行動する手前で離脱している状態です。この記事が扱うのは、こちらのケースです。
導線を見直す8つのチェック項目
ご自身のサイトを、初めて訪れた人のつもりでスマートフォンから開きながら、順に確認してみてください。
1. ファーストビューで「誰の何を解決する会社か」が分かるか
画面を開いて最初に見える範囲に、社名とキャッチコピーだけが並んでいませんか。訪問者が知りたいのは「この会社は自分の困りごとを扱っているか」です。「大阪・北河内エリアの製造業向けに、採用サイトの制作から運用まで対応します」のように、対象と提供内容が一目で分かる一文を置くだけで、その先を読んでもらえる確率は変わってきます。
2. 問い合わせへの入口が、常に手の届く位置にあるか
問い合わせボタンがヘッダーとフッターにしかない、というサイトは多くあります。しかし読者は上から下へ読み進めるので、「頼んでみようか」と思う瞬間は記事や実績を読んでいる途中に訪れます。その瞬間に押せるボタンがなければ、気持ちは冷めてしまいます。ページの中ほどや各セクションの終わり、スマートフォンでは画面下に固定表示されるボタンなど、複数の入口を用意しましょう。
3. 連絡手段を1つに絞っていないか
フォームだけしか用意していないサイトも見かけます。急ぎの人は電話をかけたいですし、まだ社名を明かしたくない人はLINEやチャットのほうが気楽です。資料をダウンロードして社内で検討したい方もいます。相手の温度感に合わせて、複数の受け皿を並べておく——これだけで拾えるお客様の幅が広がります。
4. フォームの入力項目が多すぎないか
会社名・部署・役職・住所・電話番号・ご予算・ご希望納期……と10項目以上並んだフォームは、それ自体が離脱の原因になります。最初の接点で本当に必要なのは、多くの場合「お名前」「連絡先」「ご相談内容」の3つ程度です。詳しい情報は、返信のやりとりの中で聞けば足ります。必須マークの数を減らすだけでも、送信までたどり着く人は増えやすくなります。
5. スマートフォンでの見え方を、実機で確認しているか
いまや多くのサイトで訪問の大半はスマートフォンからです。パソコンでは整って見えても、スマホでは文字が小さい、ボタンが指で押しにくい、表がはみ出す、フォームで入力欄が拡大されて位置がずれる、といった不具合が起きていることがあります。制作時のチェックだけで済ませず、ご自身の端末で一度、問い合わせ完了まで通しで操作してみてください。
6. 表示が遅くて、読まれる前に閉じられていないか
ページが表示されるまでの数秒は、訪問者にとって長い時間です。写真を撮ったままの大きなサイズで載せている、使っていない機能を追加したままにしている、といった積み重ねが表示速度を落とします。表示速度は離脱率や検索での評価にも関わるため、詳しくは表示速度がSEOと離脱率に与える影響もあわせてご覧ください。
7. 判断するための材料がそろっているか
問い合わせは、訪問者にとって「知らない会社に自分の情報を渡す」行為です。そのハードルを下げるのが、実績紹介、お客様の声、料金の目安、よくある質問、対応エリア、担当者の顔写真といった情報です。とくに料金の目安は、書かれていないことを理由に問い合わせをやめる方が一定数いる項目です。金額が変動するなら「〇〇万円〜/内容により変動します」という書き方でも構いません。
8. 送信したあとの体験が用意されているか
送信ボタンを押したあと、何も起きない画面に戻るだけでは、送れたのかどうか不安になります。感謝を伝えるページを用意し、自動返信メールを送り、「2営業日以内にご連絡します」と折り返しの目安を書いておく。ここまで整えることで、相手は安心して待てますし、返信までの間に他社へ流れるのを防ぐことにもつながります。あわせて、フォームからの通知メールが迷惑メールに振り分けられていないかも確認しておきましょう。せっかくの問い合わせを受け取れていなかった、という事故は実際に起こります。
直す順番は「フォーム」と「スマホ」から
8項目すべてを一度に直す必要はありません。手間の割に効果が出やすい順に並べると、おおむね次のようになります。
- フォームの項目を減らす——設定変更だけで済むことが多く、その日のうちに着手できます。
- スマホでの操作性を直す——押しにくいボタン、小さすぎる文字など、明らかな不具合から。
- 問い合わせへの入口を増やす——ページ中ほどのボタン、スマホ画面下の固定ボタンを追加。
- ファーストビューの一文を書き直す——文章の変更だけなので、費用をかけずに試せます。
- 判断材料(実績・料金の目安・よくある質問)を足す——内容を用意する手間はかかりますが、効き目は長く続きます。
表示速度の改善やデザインの刷新は、上の項目を整えたあとでも遅くありません。順番を逆にすると、大きな費用をかけたのに問い合わせは変わらない、という結果になりがちです。
改善するときは「測る仕組み」もセットにする
導線の改善は、やりっぱなしにすると効果が分かりません。最低限、次の3つは整えておくことをおすすめします。
- 問い合わせ完了を計測できるようにする——送信後のページへの到達数を、アクセス解析で数えられる状態にします。
- 比較する期間を決める——改善の前後で、同じ長さの期間(たとえば1か月)を並べて見ます。繁忙期と閑散期を比べても判断はできません。
- 変更は一度に1つずつ——同時に5か所直すと、何が効いたのか分からなくなります。効いた施策だけを他ページにも広げていくのが、遠回りのようで確実です。
なお、問い合わせ数そのものより、「訪問数のうち何%が問い合わせに至ったか」を見るほうが実態をつかみやすくなります。広告を止めた月は訪問数も問い合わせ数も減りますが、割合で見れば導線の良し悪しは判断できるためです。
まとめ:問い合わせは「増やす」前に「取りこぼさない」
ホームページからの問い合わせを増やそうとすると、つい「アクセスを増やす」方向に目が向きます。けれども、すでに訪れている人の中に、あと一歩で問い合わせに至ったはずの方が含まれているケースは少なくありません。フォームの項目を3つ減らす、スマホで押しやすいボタンを足す、料金の目安を1行書き足す。こうした小さな手直しの積み重ねが、集客への投資を無駄にしないための土台になります。
まずは今日、ご自身のスマートフォンでサイトを開き、問い合わせ完了までを一度通してみてください。途中で「面倒だな」と感じた場所が、そのまま改善の候補です。
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