そもそもB2Bとは?
B2B(Business to Business) とは、一般消費者ではなく、企業や小売店への卸売・業販のことです。
たとえばこんなケースがあてはまります。
- 小売店から「まとめて仕入れたい」と問い合わせが来た
- 取引先によって販売価格を変えて案内している
- 整骨院・サロン・飲食店などへ業販している
- 代理店を通じて商品を流通させている
こういった取引をすでにやっている方、またはこれから始めたい方には、今回のアップデートが直接関係してきます。
これまでの「卸売対応」は、かなり大変だった
ShopifyでB2Bに対応しようとすると、これまでは専用の外部アプリを別途導入する必要がありました。
- 月額数千円〜数万円のアプリ費用がかかる
- 通常のECデータと分断されて管理が二重になる
- 取引先ごとの価格を別システムで管理しなければならない
- 注文をメールや電話で受けて、手作業で処理するケースも多い
これが積み重なると、管理コストも手間もどんどん増えていきます。
今回使えるようになった機能
通常プラン(Basic・Grow・Advanced)で新たに使えるようになった主な機能は以下のとおりです。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 企業プロファイル | 卸売バイヤーの会社情報を管理 |
| カスタムカタログ(最大3つ) | 取引先の種類ごとに個別価格を設定 |
| ボリュームディスカウント | まとめ買い割引・数量ルールの設定 |
| 保管型クレジットカード | 繰り返し注文時の決済を簡略化 |
| 支払い条件の設定 | 掛け払いなどB2B商慣行に対応 |
| ACH決済 | 銀行口座振替のような機能(※米国限定) |
ACHとは?
米国で広く使われている銀行口座間の電子送金の仕組みです。日本の「口座振替」に近いイメージです。現時点では米国のみ対応のため、日本の事業者には直接関係しませんが、グローバル展開を視野に入れている方は把握しておくと良いかもしれません。
Plusプランのみの機能(変わらず)
今回の開放はあくまで「基本機能」です。以下の機能は引き続きPlusプラン限定です。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 無制限のカタログ | 顧客ごとに個別価格を無制限で設定 |
| カタログの直接割り当て | 企業・拠点ごとに個別設定が可能 |
| 分割払い | 請求を分割して支払い管理 |
| デポジット機能 | 前払い・手付金の受け取り |
取引先が多く、より複雑な価格管理が必要な場合はPlusプランの検討も視野に入ります。通常プランとPlusプランの間はスムーズに移行できるので、まず通常プランで始めてみるのも良い選択です。
今回のアップデートで何が変わるのか
一番のポイントはここです。
「EC(一般向け)と卸売(取引先向け)を、ひとつの管理画面で一元管理できる」
これまでは、BtoC(一般消費者向け)とBtoB(卸売・業販)を別々のシステムで管理しなければならないことが多く、データの分断や管理の手間が課題でした。
今回のアップデートで、アプリ不要・追加費用なしで両方を同じShopifyストアから管理できるようになりました。
- 受注から在庫・請求まで、データが1か所に集まる
- 「この取引先に送った価格はいくらだっけ?」という確認作業がなくなる
- バイヤーが自分でログインして注文できるので、電話・メール受注が減る
具体的にどう活用するか
① 卸したい相手を整理する
すでに問い合わせが来ている取引先がいれば、会社プロファイルを作成してカタログを設定するだけで、バイヤーがセルフで注文できるようになります。受注の電話・メール対応がぐっと減ります。
取引先1社・カタログ1つから始めてOKです。大規模な仕組みを最初から用意する必要はありません。小さく始めて、取引先が増えてきたら設定を広げていくのが現実的な進め方です。
② 価格体系を整備する
カタログは最大3つ作成できます。たとえば
- 「一般小売価格」→ 通常のECサイト向け
- 「代理店価格」→ 掛け率60%の取引先向け
- 「量販店価格」→ 大口取引先向け
といった形で取引先の種類ごとに価格を分けられます。これまで手動でやっていた方には、地味に大きな変化です。
日本市場での注意点
Shopifyの「支払い条件」機能はNet30・Net60(翌月末払いなど)といった欧米の商慣行をベースに設計されています。日本でよくある掛け払い(月締め請求)に対応するには、GMO後払い・Paidyなど国内サービスとの別途連携が必要になるケースがあります。導入前に確認しておくと安心です。
③ 卸価格はバイヤーにしか見えない
「卸価格を一般のお客様に見られたくない」という不安をお持ちの方も多いと思います。
Shopifyのカタログ機能は、ログインしたバイヤーにだけ卸価格が表示される仕組みになっています。一般のお客様には通常の小売価格のまま表示されるので、価格の使い分けを安全に管理できます。
④ Shopify Flowと組み合わせて自動化する
Shopify Flow(自動化ツール)と組み合わせることで、注文が入ったタイミングで
- 自動タグ付け
- 請求書の送付
- 担当者への通知
といったワークフローを自動で動かせます。消耗品・食品・部品などリピート注文が多い商材との相性が特に良いです。
注意しておきたい点
- ACH決済は現時点で米国限定(日本では利用不可)
- カタログは3つまでの制限あり(無制限にしたい場合はPlus)
- 掛け払い・月締め請求には別途国内サービスとの連携が必要な場合あり
- 日本語ヘルプページへの反映はこれからの可能性があります
まとめ
今回のアップデートは単なる機能追加ではなく、「DTC(一般向けEC)も卸売(B2B)も、同じ画面・同じデータで管理できる」状態が全プランのデフォルトになった、という変化です。
「B2Bは大企業向けで自分には関係ない」と思っていた方も、実はそんなことはありません。取引先1社・カタログ1つから、今すぐ始められます。
これまでツールの壁があって卸売を後回しにしていた方にとっては、動き出すタイミングとしてかなり良い機会だと思います。
「自社のShopifyに卸売機能を追加したい」「B2B対応のEC構築を相談したい」という方は、お気軽にご相談ください。
この記事はShopify公式の発表(2026年4月2日)をもとに、メディレクション(株式会社メディレクション)が解説・編集したものです。